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歯科材料の市場推移(CAD/CAM版 2019年3月)

2014年4月に保険導入されたCAD/CAM冠の市場はどのように推移しているのか、株式会社アールアンドディから発刊された「歯科機器・用品年鑑2019年版」から、市場推移を見ていきたいと思います。

小臼歯用CAD/CAM冠(ハイブリッドレジンブロック)は、2割拡大しました

2014年4月に保険導入されたCAD/CAM冠(ハイブリッドレジンブロック)の市場は次のグラフ(メーカー出荷数量ベース)のとおりです。

 

出典:株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑2019年版

 

小臼歯用ハイブリッドレジンブロックは2017年度に177.5万個が出荷されており、引き続き市場が拡大しています。前年度が148.3万個でしたので、2割の増加が見られました。

導入当初の2倍を超えており、2018年度は若干伸び率は抑えられるものの引き続き市場は拡大すると予想されています。
2017年度の177.5万個は、一ヶ月あたり約14.8万個にあたります。

平成29年社会医療診療行為別統計では、2017年6月のCAD/CAM冠用材料は118,806件でした。
この差異は、

  • 各社決算期の時期の違い(ヤマキンの2017年度は2017年7月~2018年6月 など)
  • 2017年7月以降の市場の拡大
  • メーカー出荷~保険請求間の流通・ユーザーでの在庫
  • 切削時や口腔内装着後の再製
  • 保険外診療としての利用

などが理由とヤマキンでは推察しております。

なお、ヤマキンは出荷金額ベースのシェア率が21.2%となり、初めてトップとなりました。

※A社と同率

 

出典:株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑2019年版

 

大臼歯用CAD/CAM冠は、大幅な市場拡大が予想されています。

 

出典:株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑2019年版

 

大臼歯用CAD/CAM冠の市場規模は、発売から間がなく各社の参入時期の違いもあるためアールアンドディ社では「正確に算出するのは困難」と前置きをしたうえで、2017年度を6.6万個前後と推定し、2018年度は「不確定要素が多いため実態と大きく乖離することも予想」としつつ、34万個前後まで大きく増加すると予測しています。

※ここでの17年度は、2017年12月から2018年3月までの期間を指します。その他の商品区分の集計年度は、各社の決算期によります。

アールアンドディ社の調査時期には5社が参入しており、ヤマキンは首位のメーカーに「追随しているとみられる」と記述されています。

今後もCAD/CAM冠の大臼歯全般への適用範囲の拡大や、前歯、インレーへの拡大が望まれます。

ジルコニアディスクも市場が拡大しています。

ジルコニアディスク(切削加工用)は、2015年度を境に大きく伸びています。

 

出典:株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑2019年版

 

これはCAD/CAM冠保険導入によって機器の普及が進み、同じ加工機でジルコニアディスクも切削することができることによる相乗効果と考えられます。

ジルコニアディスクの出荷金額でも、ヤマキンはシェア率2位となりました。
中部日本デンタルショーでご紹介したジルコニアの新製品も、まもなく全国のみなさまにご紹介させていただく予定です。
これからの「デジタル材料のヤマキン」にご期待ください。

 

次回の市場情報では、ハイブリッドレジンブロックやジルコニアの「CAD/CAM材料」と陶材や硬質レジンなどの「築盛用材料」の市場の推移とともに、歯科用貴金属合金市場の変化についてもお伝えいたします。