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この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

2020年9月のCAD/CAM冠 適応範囲拡大について

2020年9月1日からCAD/CAM冠の適応範囲が拡大し、前歯も保険適用可能となりました。

9月1日に厚生労働省Webサイトに掲載された内容をもとに、お知らせします。

前歯から第一大臼歯まで、CAD/CAM冠が適用となります

2020年9月1日特定保険医療材料一部改正で、CAD/CAM冠について、前歯に適応範囲が拡大することとなりました。

今回適応範囲が拡大されたのは、次の図にオレンジ色で示すとおり、上顎・下顎それぞれの前歯(中切歯、側切歯、犬歯)です。

CAD/CAM冠の適応部位

 

前歯にあたる「CAD/CAM冠用材料(Ⅳ)」の材料料は、償還価格が5,760円(576点)と、小臼歯や大臼歯に比べ高い点数が設定されています。
なお、技術料はこれまでどおり1歯につき1,200点です。
算定に際しては、大臼歯同様、「トレーサビリティシール」を診療録に貼付するなど、保管・管理が必要です。

前歯CAD/CAM冠用材料の定義に、審美的要素が設けられました

CAD/CAM冠用材料(Ⅳ)の定義において、機械的性質は2020年4月に追加された機能区分「CAD/CAM冠用材料(Ⅱ)」に準じるものとなっています。

一方、新たに設けられた定義は、以下の3点です。

  • ブロックサイズ
    歯冠長に相当する一辺の長さが14㎜以上であること。
  • 粒子径
    シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの一次粒子径の最大径が5㎛以下であること。
  • 積層構造
    エナメル色(切縁部色)とデンティン色(歯頚部色)、及びこれらの移行色(中間色)を含む複数の色調を積層した構造であること。

機能区分の対比表

 

とりわけ色調については、保険治療では機能の回復が目的であるため、これまでの材料は「見た目」について定義化された事例はありませんでしたが、歯冠修復による患者QOL向上は「見た目」の要素が多分に含まれると考えられることから、今回の定義化は大変意義深いものと考えられます。

準用技術料について

今回の前歯部CAD/CAM冠に関連する技術料を2点ご紹介します。

  • 歯冠補綴時色調採得検査(1歯につき)10点
  • テンポラリークラウン(1歯につき)34点

これらは、レジン前装金属冠やジャケット冠に対しておこなわれた技術を、CAD/CAM冠にもおいても算定できるようにしたものです。

歯科用デジタルハンドブック号外のご紹介

今回ご紹介した内容の詳細は「歯科用デジタルハンドブック号外」でご覧いただけます。

  • 適応範囲が広がるCAD/CAM冠
  • 前歯部CAD/CAM冠の機能区分
  • 前歯部CAD/CAM冠普及のポイント
  • CAD/CAM冠の市場推移


歯科用デジタルハンドブック号外

 


2020年4月の診療報酬改定(CAD/CAM冠)についてはこちらをご覧ください。