マーケット

歯科技工のマーケットサイズってどれくらい?

歯科市場のマーケットサイズは、省庁の統計や、民間の市場調査をもとに、材料や機器のメーカー出荷金額を量ることができます。

一方で、歯科技工の技術やサービスにかかわる料金は、統計や市場調査など客観的な資料が少ないことから、これまで歯科技工市場のサイズを示した文献はほとんど見られませんでした。

そこで今回は、歯科技工市場がどの程度のサイズを持つのか、独自に計算してみました。

なお、詳細につきましては、「CAD/CAMハンドブックV」に掲載しておりますので、ご一読ください。

●CAD/CAMハンドブックV
https://www.yamakin-gold.co.jp/prdct_dental/books/cadcamhandbook5.html

歯科技工市場のマーケットサイズその規模、およそ270,000,000,000円!

日本国内の補綴にかかわる歯科技工市場規模(2015年)は、技工料金がおよそ1,520億円、技工材料がおよそ1,180億円。総計で約2,700億円と算出しました。

◎歯科技工市場(技工料金+材料代)

(典拠)厚生労働省 薬事工業生産動態統計調査など

歯科技工料金の算出方法は、まず保険診療分の技術料を推察し、さらに自由診療の比率から合計を求めました。

歯科技工所の施設数はどのくらい?

さて、歯科技工所の施設数は、厚生労働省から統計が公表されており、2014年度には20,166施設とのことです。

この20,166施設は、全国の公立小学校20,302校とほぼ同じ。
まさに全国津々浦々の歯科技工所が、地域医療を支えていることがイメージできます。

◎歯科技工所と公立小学校の数

◎歯科技工所上位10社の売上高は?

全国の歯科技工所のうち、上位10社の売上高(歯科技工部門売上高)の合計は332.8億円であり、歯科技工市場(2700億円)の12.3%を占める計算です。
※矯正専門歯科技工所は除く

大手歯科技工所と地域の歯科技工所の役割

公立小学校と同等の施設数の歯科技工所は、地域に根差した存在です。
特に歯科技工士5人未満の歯科技工所は20,166施設の95%を占めるという統計があり、このような歯科技工所は近隣の歯科医院と関係が緊密なので、きめ細かい対応力を発揮し、歯科医療の治療品質を保ち、地域医療を守ってきました。

CAD/CAMなどデジタル化が急速に進んでいますが、これまで同様、大手歯科技工所と地域の歯科技工所は、それぞれの特長を活かして、地域医療の質的向上を図っていくことが望まれます。

※ 歯科技工市場のマーケットサイズ推計には、以下の文献を参考にしました。
1)厚生労働省 薬事工業生産動態統計調査
2)株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑 2017年版(第27版)
3)株式会社アールアンドディ 歯科機器・用品年鑑 2013年版(第23版)
4)厚生労働省 平成27年 社会医療診療行為別統計
5)中央社会保険医療協議会 第20回 医療経済実態調査(医療機関等調査)報告
6)厚生労働省 平成29年度歯科診療報酬点数表
7)昭和63年厚生省告示165号
8)公益社団法人日本歯科技工士会 2015歯科技工士実態調査報告書
9)厚生労働省 平成26年度 衛生行政報告例
10)株式会社アールアンドディ 歯科技工所企業要覧 2017年版
11)総務省統計局 社会生活統計指標‐都道府県の指標‐2017
12)YAMAKIN株式会社 歯科用CAD/CAMハンドブックⅣ
13)各地方厚生(支)局 WEBサイト 2017年3月時点