Q&A

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

【歯科技工Q&A】ルナウィング その他のQ&A ③

【Q1】ルナウィングの適切な保管方法を知りたい。

A

適切な保管方法は、以下のとおりです。

  • 室温4~25℃を保てる暗所に保管すること。
  • 同一の保管庫には多量に保管しないこと。
  • 消火器具を備えること。

製品に定めた使用期限は、適切に保管した場合の品質保証期限です。保管方法を必ずお守りください。
その他の注意事項を含め、電子添文も併せてご確認ください。

レジン材料は、保管温度が高いと製品の劣化を早め、十分な特性が得られない場合があります。
低温で保管した場合は硬く、使用しにくくなります。室温まで戻してからご使用ください。

目安:4℃で保管した場合、20℃の室温で20分以上放置

【Q2】ルナウィングの稠度(粘性)は、環境温度によって、どの程度影響をうけますか。

A

温度とエナメル系稠度の関係を説明します。

歯冠用硬質レジンは使用環境温度によって稠度、形状維持性、操作性などが変化します。
ルナウィングの場合、エナメル系(エナメル、トランスエナメル、トランスルーセント、エフェクトなど)は、デンティン系(サービカル、オペークデンティン、デンティン)よりも稠度(粘性)を約30%軟らかく設計しており環境温度の影響を受けやすいため、推奨の使用環境温度(20~25℃)を設けております。

温度とエナメル系稠度の関係

 

稠度は使用環境温度が上昇するとともに高く(軟らかく)なりますが、25℃を超えると変化率が大きくなり、30℃以上では以下の理由で使用が困難でした。

  • 特に軟らかく伸びやすくなる。
  • 築盛後の形状維持時間が短くなる。
  • スパチュラ離れが悪く、築盛時にストレスを感じる。

詳しくは、この次のQを参照してください。

ルナウィングの操作性は、環境温度によって、どの程度影響をうけますか。

室温が高くエナメル系が軟らかい場合は、室温を推奨使用温度(20~25℃)に下げてご使用ください。
それでも軟らかい場合は、エナメル系のハードタイプもお試しください。

エナメル系のハードタイプとペーストタイプの違いが知りたい。
https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/qa009-2_lw/

エナメル系のハードタイプは、ペーストタイプとどのような使い分けをしますか。
https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/qa009-2_lw/

【Q3】ルナウィングの操作性は、環境温度によって、どの程度影響をうけますか。

A

ヤマキンでは独自に次の2つの試験を行い評価しました。

操作性に関する公知の規格試験はありません。

試験方法は以下のとおりです。

  1. 形状維持

    20~40℃の室温で、築盛終了時点からエナメル系(エナメル、トランスエナメル、トランスルーセント、エフェクトなど)が垂れ始めるまでの時間を評価しました。

    温度と形状維持の関係

     

    エナメル系は、室温約27℃までは、1.5分以上形状を維持しますが、27℃を超えると維持時間が急激に短くなる傾向があり、約35℃では0.5分程度しか維持できませんでした。

  2. スパチュラ離れ

    エナメル系をシリンジから出し、約3mmの厚みにカットしたものをガラス板上に置き、置いたレジンの中央付近にスパチュラを押し付け、付着して垂直に持ち上がった高さで評価しました。

    温度とスパチュラ離れの関係

     

    エナメル系は、温度上昇と共にスパチュラに付着して高く持ち上がりました。
    持ち上がる高さが約0.5mm程度までは、築盛時にストレスを感じませんでしたが、約27℃を超えるころから急激に付着し易く、スパチュラ離れが悪くなり、築盛時にストレスを感じました。

    稠度を測定すると約25℃を超えるころから急激に軟らかくなりましたが、同様に約27℃を超えるころから急激に操作性に影響を及ぼす結果となりました。
    稠度の測定は下のQ&Aを参照ください。

    ルナウィングの稠度(粘性)は、環境温度によって、どの程度影響をうけますか。

 

【Q4】ルナウィングの輸送時の注意点を知りたい。

A

製品への直射日光を避け、車内など高温下に長時間放置しないでください。

注意:高温下とは、夏場に限るものではありません。

ルナウィングを自動車内に放置した際の製品温度測定結果(ヤマキン 研究開発センター調べ)を報告します。

ルナウィングを自動車内に放置した際の製品温度測定結果

 

比較的過ごしやすい6月中旬(外気温:23~25℃)でも、閉め切った車内は温度が約55℃まで上昇し、外気温よりも約30℃高くなったことを確認しました。
車内では箱に入ったルナウィングも、箱内部の温度が45℃まで上昇し、保管温度である「室温4~25℃」を大きく上回りました。

真夏(7~8月)の場合は、さらに車内温度が高くなることが考えられます。短時間で製品劣化を引き起こす危険性がありますので十分ご注意ください。
特に温度上昇が顕著なダッシュボード上には、製品を置かないようにしてください。

 

管理医療機器 ルナウィング 歯冠用硬質レジン 認証番号:218AABZX00035000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451 高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3