Q&A

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

【歯科技工Q&A】ルナウィング オペーク②

【Q1】オペークが少し硬く流動性が低いように感じます。

A

ルナウィングのオペークは金属色を確実に遮蔽し、均一な厚みに塗布できるよう流動性を低く設計しています。

流動性が高いオペークは垂れやすく、次のデメリットがあります。

  • 前装冠用メタルフレームでは歯冠中央部の最も膨らんだ部分から低い方へとオペークが垂れ、追加塗布が必要となるため塗布回数が増える。
  • 歯頸部付近ではオペークが溜まって厚くなり、硬化不足につながる。

オペーク層の塗布ムラ

 

流動性が高いオペークは、溜まって厚くなるとわずかな振動でも表面張力が働きます。するとオペークが球状になろうとするため、マージン先端や辺縁にブラックラインが現れやすくなります。より流動性の高いオペークほど重合収縮が大きいため、現れるブラックラインの幅は太くなります。

マージン先端のブラックラインの解説図

 

ブラックラインの発生を検証するため、流動性の異なる3種類のオペークを用いて重合収縮の比較実験を行いました。

【検証内容】

流動性の異なる3種類のオペークを用いて、光重合した後のブラックラインの発生状況と歯頸部付近でのオペークの溜まり方を比較しました。

使用したオペーク

 

  1. ブラックラインの見え方

    切縁を上にしたメタルフレームに各オペークを塗布して5秒間放置後、180秒間光重合し、マージン先端を拡大観察しました。

    観察結果

     

    本検証では、溜まり具合を観察しやすいよう、メタルフレーム上に直接オペークを塗布しております。リテンションビーズ、インビジブルオペークは使用しておりません。

  2. 【結果】

    • ルナウィングオペークは、拡大観察でわずかにブラックラインが認められるものの、目視では認識できない程度であり、使用上は問題ないと判断した。
    • 試作オペークA、試作オペークBは、ともに目視でブラックラインが認識できることから、審美的回復を損ねる可能性があると判断した。
    • ブラックラインは、流動性の高いものほど太く現れた。
  3. 垂れによる溜まり

    ブラックラインを確認後、メタルフレームの近遠心中央付近で半分に切断し、歯頸部断面を拡大観察しました。

    観察結果

     

    【結果】

    • ルナウィングオペークは、垂れがなく均一な厚みで塗布できていることを確認した。
    • 試作オペークA、試作オペークBは垂れによる溜まりが確認でき、流動性が高い試作オペークBの方が多く溜まっていることが確認できた。

【まとめ】

ルナウィングのオペークは、この検証でブラックラインと歯頸部付近の垂れによる溜まりが発生しませんでした。
これはメタルフレームの金属色を確実に遮蔽し、均一な厚みに塗布できるよう、流動性を低く設計しているためです。

 

【Q2】オペークが軟らかく垂れるように感じます。

A

環境温度が極端に高いと、流動性が高くなります。

オペークは室温(20~25℃)でのご使用をおすすめします。
光重合器が赤外領域の光を照射するタイプの熱を持つ機種を使用されている場合は、メタルフレームが高温となるため、その状態でオペークを塗布するとオペークに熱が伝わり流動性が高くなります。メタルフレームが冷めてから塗布してください。

 

管理医療機器 ルナウィング 歯冠用硬質レジン 認証番号:218AABZX00035000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451 高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3