Q&A

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

【歯科技工Q&A】カラット金合金の製作方法

【Q1】歯科用金地金(純金)を使用してカラット金合金を製作する方法を知りたい。

A

カラット金合金は、歯科用金地金(以下、純金)と歯科鋳造用金合金向けプラスメタル(以下、添加合金)を所定の配合割合にして溶解、製作します。

添加合金との配合割合

ヤマキンが販売する純金と添加合金は次のとおりです。

純金:「歯科用純金」

歯科用純金の成分・性能・特徴

 

添加合金:「ワイピープラスメタル」

ワイピープラスメタルの成分・性能・特徴

 

添加合金:「ワイピーカラットメタル」

ワイピーカラットメタルの成分・性能・特徴

 

各種カラット金合金の配合割合

ヤマキンの純金と添加合金のカラット別の配合割合は次のとおりです。
「ワイピープラスメタル」と「ワイピーカラットメタル」の添加量は同じです。

注:ヤマキン製品の1包装あたりの内容量と枚数
歯科用純金:5g 1枚(合計5g)
ワイピープラスメタル:0.5g 20枚(合計10g)
ワイピーカラットメタル:0.5g 20枚(合計10g)

各種カラット金合金の配合割合

 

カラット計算は、次の式で計算します。

 

カラット金合金製作法

1.溶解
所定の配合量にした後、純金をルツボに入れ、表面に少量のフラックスを加えて、やや尖鋭な火炎でなるべく短時間で溶解した後、直ちに添加合金を加えて純金と完全に混ざるように溶解します。
オーバーヒートに十分注意してください。

フラックスは、当社のワイピーフラックスHタイプをおすすめいたします。

2.鋳造
鋳造タイミングは、カラット金合金が完全に溶解し、球状となり回転を始めた時が最適です。

3.清掃
鋳造体の酸処理は、希塩酸で超音波洗浄します。

 

自作カラット金合金と、販売されている製品との比較

純金と添加合金からカラット金合金を製作する方法を説明しましたが、ヤマキンではこの自作カラット金合金よりも、カラット金合金として販売されている製品(以下、製品のカラット金合金)のご使用を推奨しています。

自作カラット金合金(K18)と製品カラット金合金(K18)の鋳造体の組織写真を見比べると、自作カラット金合金には黒点が確認されます。これは酸化物と推測されます。

自作カラット金合金(K18)組織(×200)

製品のカラット金合金(K18)組織(×200)

自作カラット金合金を「ワイピーカラットメタル」で製作した場合、成分は、Au(金)75%、Ag(銀)8.75%、Cu(銅)16.25%の3元素で、Zn(亜鉛:脱酸剤、合金酸化抑制効果剤)やIr(イリジウム:結晶微細化剤)の添加がないため、酸化物が発生しやすく、結晶粒の大きさが不均一です。そのため耐食性、機械的強度が劣ります。

一方、製品のカラット金合金には、Zn、Irが添加されているため、鋳造体には酸化物の混入も少なく、結晶粒も均一で安定した性質が得られます。

このため通常は製品のカラット金合金をご使用いただき、金属アレルギーなどで使用可能な成分元素に限りがある場合に、自作カラット金合金をご使用いただくことをおすすめします。

【Q2】製作済のカラット金合金のカラット数を変更したい。計算方法は?

A

純金や添加合金を用いて調整できます。計算方法は次のとおりです。

1.カラットを上げる場合

純金を加えて調整します。

「aカラット金合金」A(g)に純金B(g)を加え「bカラット金合金」に変更する計算式

 

例)K18金合金10gをK20金合金に変更する(カラットを上げる)場合

以上より、K18金合金10gに純金5gを加えると、K20金合金15gに変更できます。

2.カラットを下げる場合

添加合金を加えて調整します。

「aカラット金合金」A(g)に添加合金C(g)を加え「cカラット金合金」に変更する計算式

 

例)K18金合金10gをK16金合金に変更する(カラットを下げる)場合

以上より、K18金合金10gに添加合金1.25gを加えると、K16金合金11.25gに変更できます。

 

この記事は過去に発行したQ&Aを再編集したものです。

管理医療機器 歯科用純金 歯科用金地金 認証番号:14000BZZ00239001
管理医療機器 ワイピーカラットメタル 歯科鋳造用金合金向けプラスメタル 認証番号:16100BZZ01396000
管理医療機器 ワイピープラスメタル 歯科鋳造用金合金向けプラスメタル 認証番号:16100BZZ01441000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451 高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3