マーケット

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

レジンのマーケット推移

2014年4月に保険導入された小臼歯用CAD/CAM冠をはじめ、築盛用の硬質レジンやコンポジットレジンのマーケットサイズはどのように変化しているでしょう。

今回は、株式会社アールアンドディから発刊された「歯科機器・用品年鑑2018年版」から、これら歯科用レジン材料の市場推移について、見ていきたいと思います。

歯科用レジン材料のマーケット推移

小臼歯用CAD/CAM冠(ハイブリッドレジンブロック)は、2割増のペース

まず、2014年4月に保険導入されたCAD/CAM冠(ハイブリッドレジンブロック)の市場推移は下のグラフのとおりです。(メーカー出荷個数ベース)
導入された2014年は86.3万個、以降、121.8万個、148.3万個と推移し、そして2017年度は175.5万個に至ると予測され、2割増のペースで市場が拡大していることがわかります。

●出典:歯科機器・用品年鑑2018年版 株式会社アールアンドディ

歯科診療所のCAD/CAM冠 施設基準届出は、全診療所のうち65.5%が届出済みであり(※)下顎第一大臼歯の保険適用と相まって、小臼歯用ブロックの市場は今後も拡大すると見込まれます。

※ 2017年12月現在 各厚生局WEBサイトからヤマキンが独自集計

なお、ヤマキンのブロックは、2016年度実績で38万個でしたので、シェア率は25.6%。
内閣総理大臣表彰 第7回「ものづくり大賞」優秀賞を受賞した「フッ素徐放性と高強度を両立させる技術」で、4人にひとりの患者さんの治療に貢献できたかたちです。

各レジン材料のマーケットサイズの推移を対比しました。

次に、代表的な歯科用レジン材料のマーケットサイズの推移を、全社合計の数字で追ってみます。
こちらは製品ごとに内容量が異なるため、メーカー出荷金額ベースでの対比です。

●出典:歯科機器・用品年鑑2018年版 株式会社アールアンドディ

歯冠用硬質レジンやハイブリッド型硬質レジンは、それぞれ少しずつですが減少傾向にあることがわかります。
実は、それぞれ2008年度(2,340百万円)、2006年度(945百万円)をピークに減少を続けているのですが、これは各メーカーの努力による製品価格の改定や、患者さんのう蝕の改善など、複合的な要素からこのような傾向が見られると推察します。

う蝕の改善については、厚生労働省などの資料からヤマキン独自に検証を行っておりますので、機会を改めてお知らせいたします。

CAD/CAM冠とコンポジットレジンの伸びが顕著です。

築盛用のレジンが微減の一方、CAD/CAM冠とコンポジットレジンは増加傾向にあり、総じて見ると近年のレジン材料市場は拡大しており、貴金属合金から移行していることが伺えます。

CAD/CAM冠については、冒頭でお知らせしたとおり市場が急拡大していますが、2014年度と2017年度(予測)を比較すると、次のとおりです。

◎出荷個数:86.3万個 → 175.5万個(2.0倍)

◎出荷金額:1,995百万円 → 3,024百万円(1.5倍)

このように、個数の伸びに対して、金額は比較的緩やかで、1個あたりの単価が下がっていることが見えます。

コンポジットレジン についても、徐々にではありますが、市場が拡大しています。
これからも、できるだけ短期間・短時間に治療を終わらせたいという患者さんのニーズから、適応する症例には、コンポジットレジンがますます多用されていくと考えられます。