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CAD/CAM冠の条件付き適応拡大

2014年4月1日に先進医療から保険導入された「CAD/CAM冠」ですが、このたび厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会の議事に、制度についての動きがありました。
本日(2016年2月4日)までの情報をもとに、制度の方向についてお知らせします。

●参考URL 中医協資料「個別改訂項目について」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000111307.pdf

厚生労働省ホームページについて

厚生労働省ホームページによると、中央社会保険医療協議会(中医協)総会、第325回(2016年1月27日)と第326回(同1月29日)、第327回(同2月3日)の議事のうち個別改訂項目として、大臼歯への「硬質レジンジャケット冠」「CAD/CAM冠」の保険適用について触れられています。

中医協資料「個別改訂項目について」を見ると、277ページに、以下のとおり「硬質レジンジャケット冠、CAD/CAM冠」として算定要件が新設され、条件付きながら大臼歯への保険適用の道筋がつきました。

硬質レジンジャケット冠、CAD/CAM冠

[算定要件]
適応を小臼歯だけでなく、大臼歯へ拡大するが、大臼歯については、歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者に限り算定できる。ただし、医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携の上で、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。

大臼歯への保険適用については、かねてより近い将来実現するのではないかと歯科業界の話題になっておりましたが、2016年4月1日の保険適用を目指したかたちとなりました。

適用の条件について

今回、大臼歯への保険適用への明確な道筋がつけられましたが、算定条件の中に「歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者」に限定する旨が記されています。
また、医科の保険医療機関との連携について記載があり、「診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る」としています。

連携の内容については、より詳細な情報の発出を待たなければなりませんが、アレルギーの原因が歯科用貴金属合金の成分であるという診断を医科の診療所等で行い、診療情報提供料の様式に準じた患者情報を歯科の診療所等に連絡することが必要と見られます。

●別紙様式11
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iryo_shido/bessi-yousiki.html

CAD/CAM冠の装着について

なお、CAD/CAM冠の装着について、以下のように改訂案が提示されています。
詳細な情報が発出されましたら、こちらも改めてお知らせいたします。

◎装着

▼現行 
CAD/CAM冠を装着した場合は、所定点数に相当する点数を所定点数に加算する。

▼改訂案
CAD/CAM冠を装着する際に、歯質に対する接着性を向上させることを目的に内面処理を行った場合は、所定点数の100分の100に相当する点数を所定点数に加算する。

保険適用の見通しについて

この資料によると、改訂案の算定要件の文中に点数が記入されていないため、基本的に既存の小臼歯対象である「CAD/CAM冠」の診療報酬点数と比較し、点数の変更はないものと推察されます。(点数の改訂が見込まれるときは「○点を加算する」などといった記述が見られます。)

傍聴者に話を伺うと、2016年2月3日の総会において議事内容の医科歯科合意がはかられ、次回開催の2016年2月10日までに診療報酬点数の答申が出る見込みとのことでした。
したがいまして「硬質レジンジャケット冠、CAD/CAM冠」は、2016年4月1日から条件付きながら大臼歯も保険適用となる方向に進んでおり、厚生労働大臣の告示をもって決定されることが濃厚と考えられます。

その他の項目について

今回の中医協資料「個別改訂項目について」の中には、医科・歯科の治療技術や材料について、数多くの記載がありますが、歯科材料関連の一部をご紹介いたします。

  • 充填の中で「銀錫アマルガム」が削除。
  • 現行の技術「ジャケット冠」は、3カ月の経過措置(2016年6月30日まで)を設けた上で削除。
  • 「乳歯金属冠」は「乳歯冠」と変わり、「乳歯金属冠」と「それ以外の場合」に分かれています。
  • 「レジン前装金属冠」の第一小臼歯に適応範囲が拡大。ただしブリッジの支台歯に限ります。
  • 「歯冠補綴物の色調採得に関する評価」が新設。

「レジン前装金属冠及び硬質レジンジャケット冠(前歯部に限る。)を製作する場合において、レジン前装部の色調を決定することを目的として、色調見本とともに当該歯冠補綴歯の口腔内写真を撮影した場合に、1装置につき1枚を限度として算定する。」という内容です。