学術・安全性

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『日本接着学会誌』にアイゴスボンドが掲載されました

「アイゴスボンド」の接着機序について、ヤマキンの開発者らによる論文が日本接着学会誌 Vol.52 No.5に掲載されました。

口腔内という過酷な環境下で接着を実現させる技術については一般にあまり知られていないため、今回の掲載はさまざまな分野に対して有意義であったと考えられます。

日本接着学会とは

日本接着学会は、世界で初めて設立された接着分野の学協会であり、2014年に設立50周年を迎えた歴史と権威ある学会です。
接着・粘着および接着剤・粘着剤に関する科学の進歩と技術の向上、普及に寄与する事を目的とした学術団体であり、境界領域の分野として、工業技術立国として、産業界にとって大変重要な役割を担っています。

●日本接着学会WEBサイト
http://www.adhesion.or.jp/

論文掲載の意義

接着の技術は、紀元前3800年ごろから存在した言われ、現在では、化粧品やデンプン糊のような生活用品から航空機や宇宙機器まで、あらゆる産業分野で利用されています。

例えば、自動車1台では100kg程度もの接着剤が使用され、接着技術が多用されていることがわかります。また、瞬間接着材では商品名がその代名詞となるなど、生活用品としてもよく親しまれています。

一方で、歯科医療で接着が利用されていることや、瞬間接着剤と同様に短時間で接着する(しなければならない)こと、常に湿って、汚濁を受けやすい口腔内での接着が、一般の接着技術に比べかなり難しいことは、一般にあまり知られておりません。

今回の論文掲載は、歯質に対する接着機構の特殊性や材料発展が、有機化学や高分子化学の知見を取り入れながらも、独自の化学を展開していることをご紹介することを意図し、さまざまな分野に対して、化学的知見を共有する意味で意義あるものと考えられます。

論文の概略

最近の歯科分野では、虫歯に侵された歯の削るべき部分を最小限にし、削った部分を充填材で修復するというMI(Minimal Intervention)治療のコンセプトが急速に普及しており、コンポジットレジンによる修復法が発展しています。

しかし、コンポジットレジンそのものには歯に対する接着性はなく、接着材料が必要です。
さらに、歯科接着では、歯の組織だけでなく貴金属合金、非貴金属合金、セラミックスや有機-無機複合材料など、多様な接着対象があり、それぞれ異なる機構で接着します。

特に、歯質は、無機質的なエナメル質と有機成分と複合化している象牙質という性質の異なる組織に対して、同等に高い接着性を示さなければなりません。
また、わずかな接着面積でも温度変化や咀嚼・咬合圧に対し、充分な耐久性を発揮する方法と材料が求められます。

歯科接着材料は、使用する液材の種類から分類がありますが、本学会誌では、近年、主に製品化されている1液1ステップタイプの接着材料に焦点をあて、化学的な観点から最新の研究成果を体系的にまとめ紹介されています。

内容は以下のとおりです。
・ 歯科接着の機構
・ CR修復における接着
・ 接着材の構成(成分)
・ 接着機構と化学的相互作用
・ 接着性モノマーとリン酸モノマー
・ カルボキシ基をもつモノマー溶媒
・ 硬化の開始剤と開始
・ 接着方式の変換
・ 接着材の保存安定性
・ 接着材の親水性と水の吸収・溶解
・ 接着における相分離とナノ漏洩
・ CRと窩洞形状の影響

管理医療機器 アイゴスボンド 歯科用象牙質接着材(歯科セラミックス用接着材料)(歯科金属用接着材料) 認証番号:226AABZX00133000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3