歯科診療のデジタル化を診療回数から検証しました(令和7(2025)年社会医療診療行為別統計より)
2014年4月に保険導入されたCAD/CAM冠は、適応範囲が段階的に拡大され、CAD/CAMインレーも2022年4月に保険適用となりました。
そして2024年6月からはCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の適応範囲の拡大と、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を大臼歯に使用する場合のエンドクラウンに加え、CAD/CAMインレー製作における光学印象も保険導入され、2026年6月からはCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)に関して咬合支持の適応条件の撤廃と、第三大臼歯への適応範囲が拡大されました。その他には、後継永久歯の無い乳臼歯へCAD/CAM冠とCAD/CAMインレーが適応拡大されています。
今回は、CAD/CAM冠やCAD/CAMインレー、そして光学印象の診療行為の回数をもとに、歯科医療のデジタル化について検証しました。
CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーの市場について
今回は2026年6月に公開された厚生労働省の社会医療診療行為別統計(以下、統計)から、ハイブリッドレジンブロックを用いたCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーの治療がどの程度普及したのかを探ります。
保険導入と適応範囲の拡大
2014年4月に先進医療から保険導入されたCAD/CAM冠は、小臼歯から大臼歯、そして前歯へと適応範囲が拡大し、2022年4月にはCAD/CAMインレーが保険適用となりました。
その後2023年12月にはCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)がすべての大臼歯で保険適用となり、2024年6月にはCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)が金属アレルギー患者以外へも条件付きで第二大臼歯へ適応範囲が拡大し、さらにエンドクラウンが保険適用されました。
そして、2026年6月から、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)をつかったCAD/CAM冠の咬合支持に関する適応条件の撤廃や、第三大臼歯への適応範囲の拡大、後継永久歯の無い乳臼歯へのCAD/CAM冠とCAD/CAMインレーが保険適用となりました。
下表はCAD/CAM冠用材料の材料価格の推移です。

CAD/CAM冠用材料の材料価格の推移
CAD/CAM冠の普及状況
今回は診療行為の回数を抽出し、各部位ごとに歯科用金属と比較しながら検証します。
最新の統計(2025年8月分)では、金属とCAD/CAM冠の合計のうち、CAD/CAM冠が占める割合は小臼歯が44.8%(前年比+0.1%)、大臼歯が27.3%(前年比+1.9%)、前歯15.6%(+0.7%)でした。
特に大臼歯におけるCAD/CAM冠の普及が進んでおり、内訳はCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)が20.4%(前年比+0.5%)、CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)が5.6%(前年比+0.7%)、エンドクラウンが1.4%(前年比+0.6%)でした。

金属冠とCAD/CAM冠の診療実施回数の推移 小臼歯

金属冠とCAD/CAM冠の診療実施回数の推移 大臼歯

金属冠とCAD/CAM冠の診療実施回数の推移 前歯
※小臼歯の全部金属冠は前歯(銀合金は前歯・乳歯)を含む。統計では小臼歯・前歯・乳歯の区別なく集計されており、また前歯への適用はほとんどないと考えられるため。
CAD/CAMインレーの普及状況
2022年4月にCAD/CAMインレーが保険導入されてから、2024年6月には大臼歯において適応範囲が拡大し、第二大臼歯でもCAD/CAMインレーの適応が可能となりました。
さらに2026年6月からはCAD/CAMインレーに関しても、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の咬合支持に関する適応条件の撤廃や第三大臼歯への適応範囲の拡大、後継永久歯の無い乳臼歯へ適応拡大されました。
最新の統計(2026年8月)でみてみると、金属インレー(複雑なもの)とCAD/CAMインレーの合計のうち、CAD/CAMインレーの占める割合は、小臼歯では52.6%(前年比+4.1%)、大臼歯では32.3%(前年比+5.3%)を示しており、保険適用が進むことでCAD/CAMシステムを用いたインレー製作が増加し、小臼歯インレーにおいては、半数以上がCAD/CAMインレーであることがわかります。

金属インレー(複雑なもの)とCAD/CAMインレーの診療実施回数の推移
光学印象の普及状況
2024年6月より、デジタル印象採得装置(口腔内スキャナ)を用いて、CAD/CAMインレーの窩洞および咬合を直接採得した場合、光学印象が保険適用となりました。最新の統計(2025年8月分)では、CAD/CAMインレーを製作するための各種材料の請求回数の合計のうち、光学印象を実施している割合は約31.8%(前年比+8.9%)でした。

光学印象を実施している割合(CAD/CAMインレー)
保険適用を契機に年々光学印象の導入が進み、歯科診療におけるデジタル機器の活用が着実に進んでいることがうかがえます。
参考文献 厚生労働省 令和7(2025)年社会医療診療行為別統計
