学術・安全性

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

CAD/CAMインレーをCAD/CAM冠と同様の加工条件で切削すると?

CAD/CAMインレーはCAD/CAM冠用ハイブリッドレジンブロック(以下、ブロック)から削り出すため、製作工程はCAD/CAM冠とほぼ同じですが、良好な適合を得るために注意すべき点があります。
ヤマキンの先端デジタル技術研究所での検証結果をご紹介します。

本検証はヤマキンの先端デジタル技術研究所で使用している切削加工機、加工条件、材料などによるものであり、お使いの機器等により生じる影響が異なる可能性がある点をご留意ください。

CAD/CAM冠と同様の加工条件で切削すると?

CAD/CAMによるインレー加工の例

 

CAD/CAM冠と同様の加工条件でインレーを切削加工したところ、良好な適合が得られず、適合させるには手作業で大きく調整する必要がありました。
サポートピン側の内面は調整量が少なく、サポートピンの反対側の内面は多くなりました。

試験的に、加工後のインレーを半分に切断して適合を確認したところ、サポートピンの反対側の適合が著しく劣っていました。

加工後のインレーの適合

 

サポートピン側とサポートピンの反対側で適合に違いが出た原因は次のとおりと考えられます。

 

たわみによる削り残しを回避するには…

たわみによる削り残しを回避する方法を3つ紹介します。
ここでは、わかりやすく「難易度別」としました。

CAD/CAMインレー咬合面の削り残しに対応する方法

 

CAMの加工条件の変更は専門知識が必要であることから難易度が高く、また、CAMソフトによってはユーザーによる条件変更が制限されています。
サポートピンの追加はたわみの抑制に効果的ですが、MOインレーのように片側しか隣接面のない形態では、咬合面やマージンライン上にサポートピンを追加しなければならないため、サポートピンを除去する際、手作業の調整量が多くなってしまいます。

最も簡単な方法が同一加工の繰り返しで、同じ加工プログラムで同一の加工を繰り返すことで削り残し部分を減らします。方法は、手作業による調整量を抑えられることができます。
加工を2巡すると時間は2倍かかりますが、ほとんどのCAMや切削加工機で対応が可能であるため、対処しやすい方法と言えます。

同一加工の繰り返し(2巡の場合)

 

ただし、一度ブロックを切削加工機から外してしまうと、見た目は同じ位置に取り付けたように見えても若干のずれが生じてしまいます。
また、ブロックを外さなくても、切削加工機の繰り返し精度の問題や、加工負荷による若干の位置ずれといった可能性も考慮が必要です。

検証の結果からわかるように、CAD/CAMインレーはCAD/CAM冠と異なり、隣接面の支えのない形状を削り出すため、CAD/CAM冠と同様の加工条件ではなく、CAD/CAMインレーに適した加工条件が必要です。
先端デジタル技術研究所では、今後もCAD/CAMインレーに適した加工方法についてさらに検証を重ね、今後発行の歯科用デジタルハンドブックなどでご紹介予定です。

 

KZR-CAD HRブロックシリーズ
https://www.yamakin-gold.co.jp/prdct_dental/cadcam/index.html

KZR-CAD HR ブロック2 BG 管理医療機器 歯科切削加工用レジン材料 認証番号:302AABZX00039000
KZR-CAD HR ブロック2 BGy 管理医療機器 歯科切削加工用レジン材料 認証番号:304AKBZX00009000
KZR-CAD HR ブロック3 ガンマシータ 管理医療機器 歯科切削加工用レジン材料 認証番号:229AABZX00114000
KZR-CAD HR ブロック3 ガンマシータz 管理医療機器 歯科切削加工用レジン材料 認証番号:303AKBZX00111000
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