Q&A

この記事は歯科医療関係者のみご覧ください。〈一般のみなさまへの情報提供を目的としたものではありません〉

【歯科技工Q&A】ゼオセライト オペーク陶材 -焼成編-

【Q1】スーパーオペーク陶材、シェードオペーク陶材の焼成後の理想的な状態が知りたい。

A

次の状態を参考にしてください。

スーパーオペーク陶材は、焼成後わずかに艶がある状態が理想です。
その状態になるよう焼成温度を設定してください。

シェードオペーク陶材も同じ温度で焼成してください。

注意:シェードオペーク陶材はスーパーオペーク陶材よりも若干艶がすくない状態で焼成されますが問題ありません。

 

【Q2】オペーク陶材の焼成後に気泡やひび割れが発生する。原因と対策が知りたい。

A

考えられる原因と対策は次のとおりです。

注意:ここではメタルフレームは鋳造時のガス吸収の悪影響などを受けず、問題がないものとします。

  1. 乾燥時間を長くする
    オペーク陶材中の液分を、焼成前に完全に乾燥させてください。
    ポーセレンファーネスの種類やオペーク陶材の塗布量にもよりますが、単冠で5分以上、3本ブリッジで8分以上、それ以上のロングスパンブリッジでは10分以上が目安です。
    必要に応じて長くしてください。乾燥時間を長くしすぎたことにより不具合が生じることはありません。
  2. 焼成開始温度を下げる
    焼成開始温度を高く設定すると、急激な加熱により液分が沸騰し、ひび割れが生じやすくなります。
    オペーク陶材の焼成開始温度は、450~500℃です。
    500℃に設定して気泡やひび割れが発生した場合は、焼成開始温度を450℃に下げてください。その際は必ず炉内温度が焼成開始温度まで下がったことを確認してから、焼成台にセットしてください。
  3. 焼成温度を上げる
    焼成が不足すると陶材粒子間の融着が不十分となり、その結果、液分が気化した空隙が小さな気泡となって残ってしまいます。
    オペーク陶材の焼成温度は920℃ですが、930℃以上にしてください。

 

【Q3】スーパーオペーク陶材の焼成温度の違いは接着に影響しますか。

A

適正な焼成温度よりも低い場合、接着が低下する傾向にあります。

 

焼成温度の違いによるスーパーオペーク陶材の接着状態を確認する実験結果を示します。

実験方法

  1. 試料の作製
    平板形状のメタルにスーパーオペーク陶材を塗布した後、焼成指示温度(以下、指示温度)、指示温度-10℃、+10℃、-20℃、+20℃で3枚ずつ焼成した。
    その後それぞれにシェードオペーク陶材・デンティン陶材を塗布・築盛後、指示温度で焼成し、セルフグレーズした。
  2. 接着状態の確認
    試料の両端をプライヤーを使って陶材が剥離するまで馬蹄形に曲げ、簡易的に目視で接着状態を確認した。

【使用ポーセレンファーネス】
MASTER ACCEL-21(デンケン・ハイデンタル株式会社)
【使用メタル】
クインテスセラフィー(YAMAKIN株式会社)
(Au 56%, Pt 2%, Pd 24.5%, Ag 13%, その他)
【試料形状】
メタルを25㎜×7㎜×0.5㎜の平板形状にしたもの
【メタル表面処理】
クインテスセラフィーの添付文書に準じた。
【陶材の築盛量】
築盛面積:15㎜×7㎜、厚さ:約1㎜
【焼成スケジュール】
デンティン陶材とセルフグレーズはゼオセライトの添付文書に準じた。

実験結果

結果

接着状態評価

 

1.スーパーオペーク陶材は、指示温度から若干高めの焼成温度が接着効果の向上に効果的であることを確認した。
また、低めの焼成温度では接着の低下を招く恐れがあることが確認できた。

2.「指示温度」では、剥がれた陶材破片は小さいことから、メタルから剥がれるまでは十分接着しており、少しずつ剥がれ落ちたことがわかる。
「指示温度」より低めの「指示温度−10℃」と「指示温度−20℃」では、剥がれた陶材破片が大きいことから、メタルとの接着が弱く、一気に剥がれ落ちたことがわかる。

まとめ

結果の1.だけをみると「指示温度+20℃」よりもさらに高い焼成温度が理想のようにみえます。しかし焼成温度を高くすると焼成後に表面の艶が強くなり、次に塗布・築盛するシェードオペーク陶材やデンティン陶材をはじき、なじみが悪くなります。

スーパーオペーク陶材は適正な焼成状態になるよう、ご使用のポーセレンファーネスや、単冠・フルマウスなど条件によって、指示温度を目安に焼成温度を設定してください。

焼成後、わずかに艶がある状態

・スーパーオペーク陶材は、歯科メタルセラミック修復用貴金属材料の種類に関係なく接着性が良好になるように開発していますが、接着状態は、焼成温度だけでなく表面処理条件や酸化膜の状態などに影響を受けやすくなります。
・本接着実験の結果が、全てのポーセレンファーネスで一致するわけではありません。また、他社のオペーク陶材で同様の結果となるわけではありません。

 

管理医療機器 ゼオセライト 歯科メタルセラミック修復用陶材 認証番号:221AABZX00172000
管理医療機器 クインテスセラフィー 歯科メタルセラミック修復用貴金属材料 認証番号:221ACBZX00042000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451 高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3