Q1.金の役割とは？	Q2.白金の役割とは？
Q3.パラジウムの役割とは？	Q4.銀の役割とは？
Q5.銅の役割とは？	Q6.亜鉛の役割とは？
Q7.インジウム・スズの役割とは？	Q8.イリジウム・ルテニウムの役割とは？
Q9.ガリウムの役割とは？	Q10.各純金属の熱膨張係数は？

イリジウム ・密度：22.42(g/cm3) ・融点：2,443℃

ルテニウム ・密度：12.2(g/cm3) ・融点：2,250℃

　イリジウム・ルテニウムは、合金の結晶粒を微細化させる作用があり、引張強さ、伸び等の機械的性質が向上します。 特にイリジウムの添加は0.01%以下でも十分微細効果があり、この種の元素の多量添加は、あまり効果を得られません。 また、融点が高く、金への固溶域がかなり小さいため、微量の添加に制限されます。

図4. 亜鉛、イリジウムの無添加       （83.5％Au-Ag-Cu系）×100

図5. 0.3％亜鉛、0.03％イリジウムの添加       （83.5％Au-Ag-Cu系）×100

　図4、図5に高カラット系金合金の顕微鏡組織の比較例を示します。 同じ金含有量の金合金においても亜鉛添加のものは、鋳巣の発生が少なく、イリジウム添加のものは、 かなり結晶が微細化されています。
　亜鉛等の脱酸剤を合金に添加すると脱酸剤自身が酸化して、 合金中のCuがCu2Oになるのを防いだことが鋳巣の発生率を少なくしたことの要因の一つであると考えられます。

図6. 0.4％ルテニウムの添加       （58.5％Au-31.3％Pd-Ag系）×400

図7. 0.2％ルテニウムの添加       （60.5％Pd-27.5％Ag系）×400

　メタルボンド用では、金合金に比べ若干多く、約0.1〜1%添加されます。 図6、図7にイリジウム・ルテニウムを添加した実用メタルボンド用合金の顕微鏡写真の比較例を示しますが、 イリジウム・ルテニウムの添加により結晶が微細化されているのが確認できます。 【参考文献】
1）日本金属学会編： 金属データーブック　改訂4版． 丸善， 2004， 10-13．
2）Preston-Thomas H. : The international temperature scale of 1990 (ITS-90). Metrologia, 27 :
     3-10, 1990.
3）市丸俊夫ほか：歯科用金合金におけるIrおよびRuの微量添加について、歯材器、33（3）：194〜200、
     1976
4）大野弘機：歯科工誌、17（40）、297、1976