練和不要のCAD/CAM冠専用光重合型レジンセメント「マリモセメントLC」

CAD/CAM冠専用レジンセメント【Q&A】 KZR-CAD マリモセメントLC- よくあるご質問 -


製品について

◎ 製品名の「マリモ」や「LC」は、どういう意味ですか?

本製品に「MARIMO」※と呼ばれる球状多孔質ナノ粒子をジルコニアに応用した粒子を配合していることから名付けました。この粒子により、接着強さと光透過性が向上し「光重合型でも高い接着強さを」という開発コンセプトが実現できました。
また、「LC」は「Light Cure」の頭文字で、光重合のみで硬化する特徴を表しています。
※「MARIMO (Mesoporously Architected Roundly Integrated Metal Oxide)」とは、高知工科大学環境理工学群の小廣和哉(こびろかずや)教授らの研究チームによって高速大量合成法が開発された球状多孔質ナノ粒子で、毬藻(マリモ)に似た形状であることから「MARIMO 」と名づけられました。

◎ なぜ、ジルコニア粒子の光透過性が増すと、接着性の向上につながるのですか?

光透過性が増すことで、接着界面まで光が届き、レジンセメントがしっかりと光重合で硬化するためです。
一般的なジルコニア粒子はレジン製品の乳濁材として使用されており、配合すると透明性が大きく低下します。一方、マリモセメントで使用している球状多孔質ナノ粒子「MARIMO」を応用したジルコニア粒子は一次粒子がナノサイズで非常に小さいため、光の散乱が抑制できます。
そのため、ジルコニア粒子でありながら一定の光透過性があり、光重合型レジンセメントへの配合が可能となりました。

◎ 練和不要のため材料ロスがないとありますが、オートミキシングの製品とくらべて、どれくらいロスが減らせるのですか?

1回の治療での使用量を小臼歯が約0.07g、大臼歯が約0.10gと想定するとマリモセメントの内容量は2.7g/本であるため、小臼歯は約38歯分、大臼歯は約27歯分使用できます。
一般的なオートミキシングの製品では、一回の使用あたりチップ内に0.3~0.4g残留し、ロスとなりますが、マリモセメントでは必要量のみ塗布が可能であるため、1回の使用あたり3~5歯分のロスがなくなります。


適用症例

◎ マリモセメントが適用できるCAD/CAM冠やセメントスペースの厚みはどのくらいですか?

照射光が届き、接着強さを確保できる厚みは3mm以下です。
また、セメントが厚くなりすぎると重合不足となるため、セメントスペースは 500μm 以下に設定してください。

◎ マリモセメントの被膜の厚さはどのくらいですか?

歯科用レジンセメントの規格であるJIS T 6611:2019に基づき測定(150 Nで180秒間加圧)した時の被膜厚さは約7µmとなります。

◎ メタルコアに対して使用した際、メタル色の遮蔽に対してどのくらいの効果がありますか?

わずかに遮蔽効果はありますが、セメント層は非常に薄いため、メタル色の遮蔽はほとんど期待できません。

◎ 硬質レジンやハイブリッドレジンにも使用できますか?

CAD/CAM冠専用のため使用できません。

◎ ジルコニアや金属製の補綴物の接着に使用できますか?

CAD/CAM冠専用のため使用できません。

◎ 根管ポスト孔へのファイバーポストの固定やレジンコアの接着に使用できますか?

CAD/CAM冠専用のため使用できません。

◎ ヤマキン以外のハイブリッドレジンブロックにも使えますか?

マリモセメントは、ヤマキンのブロックと最適な接着ができるよう設計されております。
一方、他社製品については無機質フィラーの成分や含有量が製品ごとに異なるため、接着可否を明確に判断できる情報が十分ではありません。
接着の実証実験で繰り返し確認しておりますので、安心してお使いいただけるヤマキンのブロックをおすすめいたします。


歯面処理

◎ TMR-アクアボンド0-nとはどのような材料ですか?

詳しくは下記リンクよりご覧ください。
≫ 歯科用ボンディング材「TMR-アクアボンド0-n」について

◎ TMR-アクアボンド0-nの被膜の厚さはどのくらいですか?

約5~10µmです。

◎ マルチプライマーリキッドとはどのような材料ですか?

詳しくは下記リンクよりご覧ください。
≫ 歯科金属用接着材料「マルチプライマー」について

◎ セメントに接着成分は含まれていますか?

含まれていません。本製品はプライマー併用型のCAD/CAM冠専用レジンセメントです。
支台歯が歯質・メタルコアの場合は「TMR-アクアボンド0-n」を、レジンコアの場合は「マルチプライマーリキッド」を併用し、CAD/CAM冠には「マルチプライマーリキッド」を併用します。

TMR-アクアボンド0-nの以外のボンディング材は使用できますか?

TMR-アクアボンド0-n以外のボンディング材は使用できません。

◎ レジンコアに対して、TMR-アクアボンド0-nとマルチプライマーリキッドを使用する必要がある場合は、どちらを先に使用すればよいですか?

TMR-アクアボンド0-nを先に使用し、その後でマルチプライマーリキッドを使用してください。マルチプライマーを先に塗布すると、後から塗布したTMR-アクアボンド0-nがはじかれる恐れがあります。


塗布

◎ 塗布する量はどのくらいが適切ですか?

症例によって塗布量は異なりますが、CAD/CAM冠を支台歯に装着した際に、セメントが冠内面全体に十分広がる程度が目安です。
塗布量が多すぎるとCAD/CAM冠が浮いて咬合に影響しますので、ご注意ください。


水分混入

◎ 接着工程で唾液や水分が混入した時はどうしますか?

接着不良の要因になるため除去が必要です。水洗、乾燥をやり直してください。水洗後はしっかりと乾燥し、水分が残らないように注意してください。


光照射

◎ 照射で気をつけることは何ですか?

光重合型レジンセメントのため、光が当たらない箇所は硬化しません。
歯の形態によって光が当たりづらい箇所がある場合には、多方面から光照射するなど、入念に光照射してください。

◎ 光照射は、時間をかければ1回だけでよいですか?

少なくとも咬合面、頬側面、舌側面の3カ所から光照射し、歯の形態によって光が当たりづらい場合には多方面から満遍なく光照射してください。

◎ 臨在歯と接する箇所まで、光は届きますか?

CAD/CAM冠越しでも一定の光は透過するため、臨在歯と接する箇所まで光は届きます。
ただし、歯の形態によって光が当たりづらい場合には多方面から満遍なく光照射してください。

◎ マージン下まで光は届きますか?

マリモセメントでは、頬側面、舌側面からの光照射を指定しており、この際にマージン部に光が届き十分硬化します。マージン部は他の箇所よりも厚みが薄いため、より硬化します。

◎ 歯科診療用照明器や室内光で固まりませんか?

光重合型のレジンセメントであるため、長時間光を当て続けると硬化が始まります。CAD/CAM冠に塗布した後は速やかに支台歯に装着してください。


余剰セメント

◎ 装着時にあふれたセメントは、どのように取り去るとよいでしょうか?

3~5秒の短時間の光照射で半硬化させて、探針などで除去します。

◎ 余剰セメントを除去する時、光照射時間によって操作性は変わりますか?

光照射の時間が延びるとマリモセメントが徐々に硬くなり除去しづらくなるため、適度な硬さで除去していただくことを推奨します。


保管

◎ 製品の保管方法で注意する点はありますか?

4-25℃の室温で暗所に保管してください。25℃を超える場合は、冷蔵庫で保管してください。冷蔵庫から取り出した直後に使用しても問題ありませんが、結露が認められる場合は室温に戻して使用してください。直射日光や火気などは避けて保管してください。

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