
【歯科技工Q&A】ルナウィング オペークの流動性
オペークの流動性が低いように感じますが?
ルナウィングのオペークは、金属色を確実に遮蔽すること、均一な厚みになることを優先し、流動性の低い稠度(粘性)に設計しています。
流動性の低い稠度が築盛に与える効果についてご説明します。
流動性が高い場合、オペークが垂れやすくなり、前装冠メタルフレームでは歯冠中央部(唇側面の最も膨らんだ部分)から下方(歯頸部付近)へとオペークが流れてしまいます。
すると中央部のオペーク層は薄くなり、追加塗布が必要になるため、塗布回数が増えてしまいます。
逆に、歯頸部付近にはオペークが溜まり(層が厚くなり)、塗布にムラが生じ硬化不足の原因となる恐れがあります。
オペーク層の塗布ムラ
歯頸部などの厚くなった箇所では、わずかな振動でオペークに表面張力が働き球状になろうとするため、メタルフレームのマージン先端や辺縁にはブラックラインが現れやすくなります。
また流動性の高いオペークほど重合収縮が大きく、収縮によってもブラックラインは顕著に発生します。
歯頸部断面図の説明
歯頸部でのブラックラインの発生
以上を検証するため、流動性の異なるオペークを用いて比較調査しました。
【調査内容】
ルナウィングオペーク(流動性:低)を基準とし、流動性の高いオペークA(流動性:中)、Aよりさらに流動性の高いものオペークB(流動性:高)の3種類について
1.ブラックラインの発生状況
2.垂れによる溜まり
の違いを比較調査しました。
本調査では、溜まり具合を観察しやすいよう、メタルフレーム上に直接試験オペークを塗布しております。
リテンションビーズ、インビジブルオペークは使用しておりません。
調査試料
流動性の比較
【調査結果】
1.ブラックラインの発生状況
メタルフレーム上に各オペークを塗布して5秒間放置後、180秒間光重合し、歯頸部付近を拡大観察しました。
観察箇所
調査の結果、ルナウィングオペークは、拡大観察においてわずかにブラックラインが認められるものの、目視では認識できない程度であり、使用上は問題ないレベルと判断します。
一方、オペークA、オペークBは、ともに拡大観察では明確にブラックラインが確認され、その幅は目視でも分かるほどであることから、口腔内装着後、審美的回復を損ねる可能性があります。
また、ブラックラインの幅は、流動性の高いものほど広く現れました。
観察結果
2.垂れによる溜まり
ブラックラインの発生確認後、メタルフレームの近遠心中央付近(A-A’)で半分に切断し、歯頸部断面を拡大観察しました。
観察箇所
ルナウィングオペークは、垂れによる溜まりがなくフレーム形状に沿って均一な厚みで膜を形成していることが確認できます。これに対し、オペークA、オペークBは歯頸部に近付くほど垂れによる溜まりが確認され、その傾向は流動性が高いほど顕著でした。
観察結果
近年は操作性を重視した流動性の高いオペークが販売されていますが、ルナウィングのオペークは、オペーク本来の性能を重視した適度な稠度に設計をしています。
この記事は過去に発行したQ&Aを再編集したものです。
管理医療機器 ルナウィング 歯冠用硬質レジン 認証番号:218AABZX00035000
製造販売元:YAMAKIN 株式会社 〒781-5451 高知県香南市香我美町上分字大谷 1090-3